近年前立腺がんの手術は低侵襲化が進み、腹腔鏡手術が急速に普及しています。従来の開腹手術は、へその下部を15cm程度切開して切除する方法が一般的です。
米国で開発された手術支援ロボットです。
医師がモニターを見ながらロボットアームを操作するため、より精密で、正確な動きが可能です。ロボット手術といっても基本的には医師が人間の手のようになめらかに動く鉗子操作し手術を行います。
カメラより送られる映像は3D画像で、遠近感がとらえやすくなっています。さらに手ぶれ防止機能や手の動きを縮小して伝えるスケーリング機能などがあり、精密で微細な動きが可能になりました。前立腺がんの腹腔鏡手術では、特に骨盤内での操作が難しく、出血などの問題がありましたが、神経の温存や血管の処理には手術支援ロボットのほうがはるかに有利です。
手術支援ロボットによる手術風景
前立腺がんの治療には摘出手術を適用するのが一般的ですが、高齢者など手術が難しいと判断されると放射線療法で対処するケースがあります。放射線療法は体に負担が少なく、全摘出手術と同程度の効果が得られる治療法です。周辺組織を傷つけずに済むことから、性機能が維持される確率も高くなります。ただし、治療後に排尿や直腸に合併症が現れることもありますので注意が必要です。
当院では高精度放射線治療装置による治療を行っており、精密な治療のために画像診断を用いる、IGRT(画像誘導放射線治療)を行っております。CTやX線画像で照射部位を確認し、正確に放射線を照射していきますので通常の照射法と比べ副作用や合併症を少なくする効果が期待できます。
放射線を出す小さな線源(カプセル)を前立腺内に挿入して埋め込み、前立腺の内部から放射線を照射する治療法です。線源にはヨウ素125という放射性同位元素が密封されています。埋め込む数は50個~100個程度で患者さんによって異なります。埋め込む位置は、あらかじめコンピュータを用いて、尿道や直腸などの他の臓器への影響が最小で治療効果が高い場所を選びます。
線源から放出される放射線は徐々に減少し、1年くらいでなくなります。カプセルは永久に前立腺に残りますが、問題はありません。
男性テストステロンは前立腺がんを刺激し、テストステロンにより、前立腺がんは増殖して広がり続けます。テストステロンのはたらきを止めると、がんの増殖は抑制されます。これがホルモン療法(内分泌療法)と呼ばれる治療法です。 分泌療法は睾丸(精巣)を摘出する方法と、薬剤による治療法とがあります。薬剤による内科的治療には、作用によりいくつかの種類があり、男性ホルモンが前立腺にはたらかないように作用する薬剤の抗アンドロゲン剤の投与、女性ホルモンのエストロゲンの投与、テストステロンの分泌を抑制する薬剤LH-RHアナログや副腎皮質ホルモン剤の投与などがあります。ホルモン療法は効果がありますが、治療を開始して2年~4年ぐらいで、患者の半数以上に効果がみられなくなり、がん細胞が再度増殖することがあります。近年、新規の抗アンドロゲン剤が登場しさらに治療の選択肢が増えています。
内分泌療法により、男性ホルモンであるテストステロンが抑制されますが、この治療法で効果がみられなくなったがんのことを去勢抵抗性前立腺がんと呼んでいます。この去勢抵抗性前立腺がんに抗がん剤であるドセタキセルやカバジタキセルが使用できるようになり、生存期間も有意に延長できていると報告されています。
腫瘍マーカーのPSA(前立腺特異抗原)検診で、早期の段階で発見される前立腺がんが増え、がんを根治できるケースが増加しています。しかし、その一方で、必ずしも手術の必要がない前立腺がんが見つかり、行わなくてもいい治療が行われているという側面もあります。そこで登場してきたのがPSA監視療法です。この監視療法は、すぐに悪くなるとは考えにくい患者を対象に、積極的な治療は行わず、定期的にPSAや前立腺生検を行いながら、様子を見ていこうという治療です。前立腺がんはがんの中でも進行速度が遅いがんといわれ、安易にすぐ手術はしたくない、と考えている方はこの療法を実施している病院を選択するのも一つの方法かもしれません。
高エネルギーの超音波を発生させ、これを1点に集めることでその部分の温度が90℃程度になり、その部分にあるがん組織を凝固壊死させます。前立腺の場合は、肛門から治療用のプローブを挿入し前立腺内部に超音波を収束させます。
前立腺凍結療法は、がん細胞を凍結させてダメージを与えるものです。液体窒素が使われます。がん細胞を凍らせると活動は不活発になり、がんの活動も止まります。凍結を行うことにより免疫機構が活性化され、癌細胞を死滅させる効果があることも分かってきています。凍結と融解を繰り返すことによって、がん細胞を完全に死滅させるのが、前立腺凍結療法です。
がんの骨転移による疼痛の緩和を目的とした治療用の放射性医薬品(ストロンチウム、ラジウム)による治療も行っています。
骨転移痛の緩和治療では、他のがん性疼痛と同様に、単に疼痛緩和の観点からのみならず、個々の患者の病態や治療計画とともに、その患者の生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)などを総合的に考慮して、鎮痛剤、抗がん剤等による薬物治療、放射線療法、及び外科療法などを用いた集学的アプローチが重要です。
当院では、がんに係る専門のスタッフ(緩和ケア認定看護師、化学療法専門薬剤師、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー等)が、患者さんやご家族の抱える様々な問題の解決・調整を援助しています。
おおむね65才以上の方で、精神的または身体的理由で日常生活に常時介護を必要とし、自宅ではお世話を受けることが困難な方を対象としています。
介護が必要な利用者に対して、健康で安定した生活を送っていただくことを目的として、利用者本位の総合的な援助を行います。
要介護、要支援者および居宅介護支援事業からの居宅サービス計画に沿って、利用者の自立とQOLを高め得るに適切な利用者中心のサービスを提供します。
要介護、要支援者の意思および人格を尊重し、利用者の立場に立った適切な指定訪問看護の提供することを目的としています。
子どもの状態を正しく把握し、疾病の早期発見、早期治療に努めています。病院との連携を深め、適切な指導を行います。
地域医療機関と協働し予防医療・健康増進に寄与するため、平成30年11月「健康・医療のまち健都」の駅前複合商業ビルVIERRA(ビエラ)岸辺健都2階フロアに移転します。
病気をかかえていても医療と介護の専門家の目が行き届く環境で通所と宿泊サービス・訪問看護と介護サービスを組み合わせ、慣れ親しんだ地域と家で“身近な人に囲まれていつもの暮らしを続けること”をサポートします。
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