当院の開設前史は、1941(昭和16)年に済生会創立30周年事業として吹田市内に計画された病院建設に遡る。建設計画は戦時下にあり実現までにいたらなかったが、1945(昭和20)年5月、吹田市在住の有志の方々による浄財で旧吹田町役場を買収し、済生会へと寄付された。
終戦まもなくの1945(昭和20)年10月に、大阪市内にあった済生会港病院院長 内野滋氏は戦災で病院が焼失したために看護婦3名、事務員2名を伴い、先の旧吹田町役場の一室において診療を始めた。これが当院の起源である。開設当初、診療室は旧吹田町役場を間仕切りしたものであり、医療器具・医薬品等の物資も事欠く状態であったが、済生会精神のもと積極的に地域医療を推し進めた。
1945(昭和20)年前半まで吹田市内には他に病院もなく増え続ける患者数に対応するため近隣民家を買収し数度の増改築を経て、病院開設10年で病床数は167床を数えるまでとなった。1955(昭和30)年には医療社会事業部を発足し済生会の精神「生活困窮者を医療で済う」を実践した。その後、医療設備等の充実を図りながら、さらなる増改築を重ね、1958(昭和33)年には245床となり、翌年には大阪府より総合病院として認可された。1977(昭和52)年には現在と同じ病床数500床を有する大阪府北部有数の社会福祉法人立病院、公的医療機関へ発展した。
開設当時の病院風景(旧吹田町役場跡)
写真右:初代院長 内野滋
1966(昭和41)年、病院内に肢体不自由児通園施設である「吹田療育園」を開園。同施設は前身の施設が立ち退きにあったところを当院が受け入れたもので、全国的にも歴史のある療育施設である。1973(昭和48)年に児童福祉法に基づく肢体不自由児通園施設として認可され、2012(平成24)年からは障害児通所支援事業 医療型児童発達センターとして運営している。
1981(昭和56)年に、特別養護老人ホーム「高寿園」を開園。来る高齢化社会に備える目的と、当院が地域の方々の支えにより発展してきたことに感謝の意を表して建設され、地域の先駆的役割を担いながら地域福祉にもいち早く取り組んだ。
開設から40年近くを経て建物の老朽化、狭隘化が進み、高度・多様化する医療ニーズに応えられる質の高い地域医療の提供が困難となってきたため、1983(昭和58)年頃から建替整備の検討が進められた。病院の新築移転他、敷地内に吹田療育園の移転、特別養護老人ホームの新設などが計画され、医療と福祉の連携が新たな病院の全体構想であった。1996(平成8)年2月に大阪市、吹田市や地元関係者の理解と協力を得て大阪府営住宅建て替えに伴う保留地を譲り受け、新築工事着工。1997(平成9)年4月には、新病院に隣接して特別養護老人ホームと在宅福祉の複合施設である「松風園」(新規開設)および「吹田療育園」(移転)を開設した。そして、2年の工期をかけて1998(平成10)年2月28日に新病院が竣工、同年5月1日に吹田市川園町へ新築移転した。
その後、2000(平成12)年4月、介護保険法施行にあわせて居宅介護支援事業および「吹田訪問看護ステーション」開設、2005(平成17)年2月には在宅医療の新たな拠点として大阪市東淀川区に「吹田病院東淀川訪問看護ステーション」を開設。そして、2012(平成24)年1月に院内保育所「なのはな保育所」が西館から吹田市高城町へ、さらに2013(平成25)年3月に「高寿園」と「吹田訪問看護ステーション」が吹田市山手町へ新築移転した。
病院新築移転後、医師の卒後臨床研修必修化に備えるために、2000(平成12)年3月に臨床研修病院の指定を受けた。2003(平成15年)3月には臨床研修に係る医師法改正に伴い管理型臨床研修病院の指定を受け、新医師臨床研修制度が開始された2004(平成16)年以降、毎年10名程度の臨床研修医を受け入れている。
また、次代の医療ニーズと医療従事者の資質向上を図るために2000(平成12)8月に東館建設を着工、2001(平成13)年3月に竣工した。事務部門、情報管理部門のほか、研修室や図書室、多人数収容ホールなど卒後教育・臨床研修・生涯教育のための施設が東館には備わっている。
2001(平成13)年4月にこの東館を拠点とした吹田医療福祉センターを設立し、関連施設との絆を深め、保健・医療・福祉の連携が実現した。2003(平成15)年4月には、大阪府保健医療財団 新千里病院(300床)が済生会千里病院として加わり、2006(平成18)年4月に府立千里救命救急センターを統合。同年7月に新病院が完成し診療を開始した。その後、千里病院は2010(平成22)年に吹田医療福祉センターより独立した。
2004(平成16年)1月から電子カルテシステムの全面稼働を始め、医療のIT化をさらに推し進めた。2010(平成22)年1月、電子カルテシステムの更新、同年9月完全フィルムレス化を行った。
継続的な医療の質向上および社会・地域貢献のために、様々な第三者評価の取得にも取り組んでいる。 中立的・科学的・専門的な立場で医療機能を評価する(財)日本医療機能評価機構から2001(平成13)年5月にの病院機能評価一般病院B認定を取得以降、2006(平成18)年1月にV5.0、2011(平成23)年3月にV6.0、2016(平成28)年1月に一般病院2<3rdg:ver.1.1>認定を更新した。
また、2002(平成14)年4月には品質マネジメントシステムISO9001:2000年版の認証を取得。ISO9001認証は全国にある済生会病院として初の取得であった。その後、2005(平成17)年3月、2011(平成23)年1月(2008年版)、2014(平成26)年1月に更新審査を受審、再認証を得ている。
2005(平成17)年4月には、地球的環境保全に対応する環境マネジメントシステムISO14001認証を取得。2008(平成21)年1月に省エネとコスト削減の効果を目指しISO14001にかわり環境省のエコアクション21を認証取得した。2010(平成22)年12月、2013(平成25)年1月にエコアクション21の更新審査を受審、再認証されている。
さらに、2012(平成24)年5月には卒後臨床研修評価機構から認定を受け、続いて2013(平成25)年2月にNPO法人日本HIS研究センターより「はとはあと」情報公開優良医療施設認定、同年11月には日本人間ドック学会の定める人間ドック健診施設機能評価の認定を受けた。
2005(平成17)年6月、地元医師会の同意を得て登録医制と開放病床を導入し、医療機能の分化・連携推進を進めた。2006(平成18)年5月にDPC対象病院、2007(平成19)年2月に7対1看護配置を実施し、翌年5月の外来改修工事を機に内科系・外科系が一体となった「呼吸器病センター」「消化器・肝臓病センター」「消化器内視鏡センター」を開設。7月には「化学療法センター」を開設し、すでに運用していた「周産期センター」「透析センター」とあわせて6つのセンターが整備された。2007(平成19)年11月に大阪府地域周産期母子医療センターの認定、2008(平成20)年3月に大阪府肝炎専門医療機関の指定、2009(平成21)年3月に大阪府がん診療拠点病院の指定、同年11月に地域医療支援病院の承認を受けた。
当院理念「やすらぎの医療」の第一節「窮境にある患者さんの医療を積極的に支援する」の根本となるのは『済生勅語』である。『済生勅語』とは、明治天皇による済生会創設の「お言葉」であり、その大意は「恵まれない人々のために施薬救療し、済生の道を弘めるように」である。当院が開設された戦後の混乱期、当院自体が財政的に窮しながらも患者さんに医療を提供し続けることができたのは『済生勅語』の発露であり、その精神は現在の当院理念に強く受け継がれている。
2010(平成22)年から開始した済生会独自の「生活困窮者支援事業(なでしこプラン)」では、生活困窮者への無料健康診断の実施、更生保護施設入所者への医療支援、妊娠等の悩み相談事業などに取り組んでいる。また、地震などの災害時には、物資支援のほか、医師、看護師やMSW等職員を派遣し、災害支援及び復興支援にも取り組んでいる。
2015(平成27)年、当院は創立70周年を迎え「70年の絆を大切に!済生の心を未来に届ける!」をキャッチコピーに様々な事業を行った。これからの80年、100年に向かって、先人たちの志と絆を70周年を機に改めて振り返り、未来へ継承していく想いを強めた。
現在、当院理念「やすらぎの医療」を提供すべくビジョンと品質方針を策定し、良質で患者の視点を重視した医療サービスの提供を行い、済生会病院としての使命を果たすよう努めているところである。
おおむね65才以上の方で、精神的または身体的理由で日常生活に常時介護を必要とし、自宅ではお世話を受けることが困難な方を対象としています。
介護が必要な利用者に対して、健康で安定した生活を送っていただくことを目的として、利用者本位の総合的な援助を行います。
要介護、要支援者および居宅介護支援事業からの居宅サービス計画に沿って、利用者の自立とQOLを高め得るに適切な利用者中心のサービスを提供します。
要介護、要支援者の意思および人格を尊重し、利用者の立場に立った適切な指定訪問看護の提供することを目的としています。
子どもの状態を正しく把握し、疾病の早期発見、早期治療に努めています。病院との連携を深め、適切な指導を行います。
地域医療機関と協働し予防医療・健康増進に寄与するため、平成30年11月「健康・医療のまち健都」の駅前複合商業ビルVIERRA(ビエラ)岸辺健都2階フロアに移転します。
病気をかかえていても医療と介護の専門家の目が行き届く環境で通所と宿泊サービス・訪問看護と介護サービスを組み合わせ、慣れ親しんだ地域と家で“身近な人に囲まれていつもの暮らしを続けること”をサポートします。
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