肝細胞癌に対し全身薬物治療を受けられている患者さんへ
当院で肝細胞癌に対して全身薬物療法(アテゾリズマブ+ベバシズマブ、およびレンバヒニブ)を実施された方で、薬物療法実施前に肝特異性MRI造影剤であるガドキセト酸ナトリウム(以下EOB)を用いた造影MRI(以下EOB-MRI)を撮像された方を対象に、診療録(カルテ)および治療実施前に撮影したEOB-MRI画像を用いて下記の臨床研究を実施します。
実施にあたり済生会吹田病院倫理審査委員会の審査を受け、承認されています。
1.研究計画名
肝細胞癌に対する薬物療法の予後予測:EOB-MRIによる不均一性評価の有用性
2.研究の意義・目的
現在、進行肝細胞癌に対する全身薬物療法として6種類の薬剤が使用可能となっています。アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法(2020年9月に保険承認)は薬物療法のfirst lineとして位置づけられていますが、βカテニン変異肝細胞癌では治療効果が乏しいことが知らており、個々の患者様に応じた適切な薬剤選択が模索されています。
肝特異性MRI造影剤であるEOBを用いた造影MRI(EOB-MRI)では、腫瘍血流のみならず、EOBを輸送するトランスポーターを視覚化することが可能です。トランスポーターの発現は腫瘍の悪性度や分子異常と関係しており、近年EOB-MRIは予後予測に有用なイメージングバイオマーカーとして着目されています。
今回我々は、肝細胞癌に対する全身薬物療法(アテゾリズマブ+ベバシズマブ、およびレンバチニブ)の予後不良因子としてのEOB-MRIの肝細胞相の有用性について検討します。
さらにEOB-MRIの肝細胞相による予後予測を利用して、肝細胞癌の患者様個々に応じた最適な全身薬物療法の選択に寄与することを目的としています。
3.研究計画の概要について
当院において2018年3月〜2022年12月の間に肝細胞癌に対して全身薬物療法(アテゾリズマブ+ベバシズマブ、およびレンバチニブ)を導入された方で、薬物療法導入前にEOB-MRIを撮像された方を対象とし、診療録(カルテ)および治療前に撮影したEOB-MRI画像を用いて分析を行います。
4.研究期間
2022年9月12日~2024年12月31日
5.研究方法
2018年3月〜2022年1月の間に当院および共同研究機関で、肝細胞癌に対して全身薬物療法(アテゾリズマブ+ベバシズマブ、およびレンバチニブ)が導入された患者様の診療録より以下の情報を抽出します。また術前EOB-MRI画像を解析し、予後不良因子となり得るかを評価します。
信頼性の高い結果を得るために、他施設と共同研究を行う場合があります。その場合は、当院のデータを匿名化した上で、他施設に提供します。
- 身体情報:年齢、性別
- 血液検査結果:血清ビリルビン値、血清アルビミン値、プロトロンビン活性値、肝機能
- 腫瘍マーカー
- 既往歴
- 前治療歴
- 肝外病変の有無
- 薬剤投与量、期間、PD判定日
6.予測される危険や不利益
対象患者様が受ける危険や不利益はありません。
7.個人情報の取り扱いについて
収集した情報は名前、住所、年齢など患者様を直接特定できる個人情報を除いて匿名化いたしますので、個人を特定できるような情報が外に漏れることはありません。また、研究結果は学術雑誌や学会などで発表される予定ですが、発表内容に個人を特定できる情報は一切含まれません。
本研究に参加したくない場合は、下記担当医までご連絡ください。申し出がなかった場合には、参加を了承していただいたものとさせていただきます。
なお、参加を拒否されても、患者さんになんら不利益を生じることはありません。
8.その他
本研究は過去に施行された検査を後方視的に検討するのみであり、この研究のために患者様に新たな検査や費用が追加されることは一切ありません。また、研究の対象となる患者様に謝礼はありません。この研究によって得られた知的財産の所有権は研究組織および研究者に属します。