対象疾患 | 大阪府済生会吹田病院

心不全センター - 対象疾患

心不全とは

『心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です』と定義されています。

『がん』と診断されると、不安・落ち込みなどのストレスを認める方は少なくありませんが、『心不全』と診断されて、将来を悲観される方は必ずしも多くありません。ひとつには『心不全』と聞いてもどのような病気であるのかよくわからないためだと思われます。

心不全発症後の経過

社会の高齢化に伴い心不全患者は増加しています。心不全は決して経過良好な疾患ではありません。発症後5年で約50%強が亡くなるといわれています。
一見元気に見えても、突然亡くなったり、繰り返す心不全再入院や息切れなどの症状により、身体活動能力や認知機能が低下し、自宅での生活が困難になる例も珍しくありません。

しかし、最近の治療の進歩により、心不全の予後は改善してきています。心不全の症状は、適切な治療により比較的速やかに改善するため治ったと考えがちですが、一旦発症した後は、ずっとこの病気と付き合っていく必要があります。

再入院を予防し、寿命を縮めないためには、処方された薬を忘れずに内服するだけなく、日ごろの生活習慣の見直しが非常に重要となっています。そのため、医師だけでなく看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種のチームで支援を行っています。

日常生活で気を付けてほしいこと

当院では、個々に合わせたきめ細やかな心不全指導を行っています。

1. 心不全に関する知識

心不全とはどのような疾患であるかを理解する必要があります。
心不全悪化の誘因、糖尿病や高血圧などの合併症の管理、食事内容、薬に対する理解、日常生活での注意点、悪化した際の対応・受診方法について学んでいきます。

2. 自己(又は家族)による観察

心不全悪化の予防のために特に重要です。
以下のいくつかを認める場合、心不全の発症・悪化を疑います。

3. 治療に対するアドヒアランス

アドヒアランスとは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることを指します。
処方通りに服用することの重要性、効能、副作用及びペースメーカなど手術後の生活の注意点について理解する必要があります。

塩分の多い食品

4. 塩分・水分管理

適切な塩分摂取(1日6g未満)を心がけてください。
適切な(目標)体重を維持して下さい。
過度の飲水は避けてください。

5. 身体活動

適度な運動は、身体機能が向上し、日常生活中の症状が改善して生活の質を高めます。
適切な運動方法、時間、強度は個々の状態に応じて異なります。運動開始前には必ず主治医と相談ください。

6. 入浴

熱いお湯や長時間お湯につかりすぎないでください。
温度は40~41℃,鎖骨下までの深さの半座位浴で,時間は10分以内がよいとされています。

7. 感染予防とワクチン

呼吸器系感染症は心不全増悪のリスクとなります。
インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチン接種を受けることは望ましいとされていますが、接種される前に主治医とご相談ください。

8. 禁煙

喫煙はあらゆる心疾患の危険因子です。
心不全でも禁煙により死亡率や再入院率が下がると言われています。

9. 飲酒

適切な飲酒習慣に努め、大量飲酒は避けてください。
目標は、純アルコール量として1日あたり25 g以下ですが、一部の心疾患では禁酒が不可欠とされています。
飲酒可能かどうか、適切な飲酒量については、主治医とご相談下さい。
<純アルコール量25gの目安>